キャラ変も中途半端な織田裕二に「どうなることやら」
TVふうーん録(98)
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キャラ変も中途半端な織田裕二に「どうなることやら」
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テレビ番組を見て感じる「モヤッ」「イラッ」……。でも、やっぱり見てしまう。たまった欲求不満は「TVふうーん録」で解消しましょう♪ 大人ならではのテレビの楽しみ方がココにある! テレビ嫌いなあなたも話のネタにどうぞ。

 織田裕二が迷子になっている。唐沢寿明の迷子っぷりはなんというか、本人が楽しそうだから、放置していいんだけど、織田はとても心配だ。いわずもがな、「IQ246」のことである。

 

 独特の話し方は、おそらく織田が練りに練りすぎて、偶然の産物となった演技プランだと推測できる。私は素直に受け止めた。ああ、織田が我を捨てたのだと。

 

 キャラ変というか、味変というか。醤油ベースしかなかったけれど、七味マヨネーズとラー油をぶっかけてきやがったか、と。心躍る瞬間だったと告白しよう。なんだかんだいって織田裕二、嫌いじゃない。40本以上あるんじゃないかと思わせるような、真っ白な歯がずらりと並ぶ、あの笑顔が好きなのだ。闇が深そうで。

 

 が、過去数年を振り返ると、どうも芳しくない。外交官役の二枚目気取りが失敗し、ホームレスシングルファーザーでも身勝手な印象しか残せず(あら、奇しくも両方フジテレビね……)。

 

「相棒」の水谷豊、「古畑任三郎」の田村正和に並べ!と考えた奇策が、あの声・あの演技だったのよね? 「ばくさんのかばん」の熊倉一雄へのオマージュだったのよね?

 

 初回から賛否両論が飛び交い、やや不安だったが、織田は織田の織田による「織田イズム・俺イズム」から抜け出したと信じていた。

 

 ところが、2回目あたりからややトーンダウンしちゃったんだよ。3回目はディーン・フジオカのファンのための物語だからいいとして、4回目は完全に元の織田に戻っちゃった。ちょっと目を離すと、カッコつける織田に。なぜ戻った?恥ずかしくなっちゃった? 織田の演技プランのブレがドラマ全体を迷わせやしないか? 今回の原稿は「?」が多いな。織田裕二本人に確認したいんだと思う。物語そっちのけで。

 

 織田には、人の気持ちや貧乏人の生態なんか気にも留めない、屁とも思わない変人を貫いてほしいんだけど、なんかちょっとエエ話にもっていきそうな気配も。

 

 他のキャラはどうか。ディーンは執事役に徹している。たとえ一瞬しか映らなくても、その美しい横顔は女を虜にする。こうなったらしゃべらなくてもいいや。冷徹な横顔と爽やかな笑顔とキレのあるアクションを見せてくれればいい。

 

 どうでもいい話だが、毎週日曜の夜、夢にディーンが出てきて困っている。初回は「冷酷を通り越した塩対応のディーン」で、先週は「虚言癖のディーンに戸惑う」の巻だった。私の妄想力も捨てたもんじゃない。

 

 パツンパツンに弾けそうな元気いっぱいの土屋太鳳も好きだ。劇中で邪魔臭い感じがちょっと不安ではある。TBSドラマで、劇中邪魔臭い役を演じる女優は、ことごとく嫌われるからね。

 

 一応、監察医役の中谷美紀も今後絡むであろう(と勝手に思っている)謎はあるのだが、非現実的な手法の殺人示唆は微妙でもある。

 

 それから、カメラのスイッチングが無駄に細かくてしかも速すぎやしないか?あれに意味はある? 俳優の表情をじっくり観たい私は、舌打ちしまくりである。

 

 

※「IQ246〜華麗なる事件簿〜」(TBS系、日曜21時〜)

※「週刊新潮 2016年11月24日」掲載

プロフィール
吉田潮
よしだ・うしお/テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビ番組はほぼすべて視聴している。 公式HP http://yoshida-ushio.com/